アース通信 vol.23
2020年04月01日
コロナウイルスで大変な中でも季節は巡り、ペットたちの寄生虫予防シーズンがやってきました。
当院では予防と健康診断をセットにしたお得な年間パスポート会員を3月から6月まで募集しています。
改めまして寄生虫の予防についてお伝えいたします。
予防したほうがいい寄生虫病の中で、気温に敏感なのが犬フィラリア症です。
この地方では比較的珍しい病気ではありますが、この病気はフィラリア(犬糸状虫)の成虫が肺動脈や心臓に寄生するため、血液循環障害を起こし以下の様な症状が現れます。
- 散歩中に疲れやすくなり、階段を登るのを嫌がるようになる
- 興奮時や早朝に乾いた咳をするようになる
- 肝臓の肥大、腹水(お腹に水がたまる)、浮腫(むくみ)、脈塞栓(肺動脈の血管がつまる)、喀血(軌道からの出血で吐血する事)
- 多数の成虫が寄生している場合には、それらが心臓につながる大きな血管を塞ぎ、血尿や貧血、呼吸困難などを伴う急性症状が現れ急死する場合もあります
フィラリアに感染した犬の血液には、フィラリアの赤ちゃんのミクロフィラリアがいます。夏の間に蚊が、感染した犬の血を吸うとミクロフィラリアが蚊の体内に移動し、蚊の中でミクロフィラリアが育っていきます。蚊の体内で育つためにはある条件を満たした気温が必要となります。
毎年気候は変わりますので、都度犬に感染するであろう期間を予想します。
昨年は例年より約1ヶ月早く条件を満たしました。つまり、例年より1ヶ月早く予防を始めた方が良いことがわかりました。
予防終了時期は、例年通りで良いこともわかっています。
このため犬フィラリア症の予防推奨期間は6月末から10月末までの5ヶ月間となります。
また、飼育形態、他の地域に移動する場合、多少変更が必要な場合がありますのでその場合は、獣医師にご相談ください。
秋に卵から生まれ、幼ダニの状態で長い冬を越えてきたマダニたちは草木の上で哺乳類が通るのを待っています。
もちろん山にはたくさんの哺乳類がいますのでマダニもたくさんいますが、人の生活圏近くにある河川敷や雑木林にもマダニは生息しています。毎年当院では、20~30頭の犬、数頭の猫がマダニに
噛まれて来院します。マダニに噛まれると皮膚炎がおこり痛がったりしますが、怖いのはマダニからペットに病原体がうつることです。
ライム病、バベシア病をはじめ、北海道特有のダニ媒介性脳炎、西日本に感染拡大しているSFTS(重症熱性血小板減少症候群)などです。 いずれにしてもマダニに咬まれないように予防することが大切です。散歩など外に行って帰ってきたら必ずブラッシングをしてマダニを落とすのが一番効果があると思います。
予防薬は飲み薬やスポットタイプの付け薬、首輪タイプがありますが、しっかりとした忌避薬ではありません。
咬まれたあと、薬の有効成分がマダニに効いてペットから落ちるタイプです。その子にあったお薬を処方して有効成分がしっかりと身体中に行き渡っていることが大切になります。
4月から9月までが予防期間となります。
現在感染が蔓延している国からの犬や猫の症例は報告されていません。香港で感染者が飼っていた犬の鼻と口から弱い陽性反応が出たと報道されましたが、この犬も症状は出ていません。過度のご心配は必要ないかと思います。もしもご家族に感染者が出た場合は、まずは保管所にご相談ください。
皆さんの日ごろからの感染予防とペット達を清潔にすることでよろしいかと思われます。
1日も早く終息することを願うばかりです。